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2024/11/23(Sat)11:21
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雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。
2008/05/03(Sat)16:04
一啓(BLEACH)
「うっはー、キレー!」
桜の花びらが舞う道で両手を広げて廻ってみせる姿は、とても可愛く見えた。
桜の花びらが舞う道で自分を見ている立ち姿は、とても格好よく見えた。
「ほらほら、一護! 桜!」
「おー、転ぶなよー」
「わぁーってるー!」
大通りから逸れたわき道に、その桜の並木道はあった。
今まで通ったことがなく、一護と啓吾は散歩がてらその道を行くことに決めた。
決して距離は長くないものの、ゆっくり歩けば十分に桜を楽しむだけの距離はあった。
時間にして十五分ほど。
まだ八分咲きくらいの桜がすこし強めの風に吹かれて、薄桃色の花びらが空を舞っている。
その中に、啓吾は立っている。
そして一護も。
「しっかし誰もいないなー」
「確かにな」
「こんなにキレーなのになー、もったいねー」
真上から暖かく自分たちを照らす太陽の光と、舞い散る桜の花びらで視界は明るく綺麗。
だが、その道には一護と啓吾、二人以外の人の姿は見当たらない。
辺りに立ち並ぶ家々からも人の声と思われる音はしない。
二人きりの世界。
そう言葉にしてもいいくらい、人の気配が無かった。
一護が立ち止まっている自分の元に追いついていることを横目で確認すると、
啓吾はゆっくりと歩きだした。
それにつられて一護も啓吾の右側を歩き出す。
ふと、啓吾は一護の髪に目をやった。
違和感がある。
鮮やかなオレンジ色の地毛のなかに、地毛のオレンジ色だけではない色があったからだ。
「一護、ちょっぴりストーップ」
「あ?」
肩を掴むと同時に声を掛け一護をその場に止まらせると、
一護の頭の左側に右手を伸ばした。
一護の目が、不思議そうな目で啓吾の手の行く先を追う。
やがてその手を一護の目の前に差し出す。
「取れた」
「桜・・・?」
「ぷっ。子供みてー、頭に花びらくっつけてるってー!」
指先でつまんだ花びらを一護の目の前に掲げ、
腹を抱えてケラケラと笑い出した啓吾に一睨みきかせると、
一護は ん? といつもより眉間にシワを寄せた。
「うをぅ!?」
急に身体が傾いたことに声を上げた啓吾の頭に、一護の手が乗る。
一護が啓吾の右腕を掴んで引き寄せたのだ。
そのまま一護の手が、グシャグシャと啓吾の髪の毛をかき乱す。
「お、おい、一護っ?」
「取れた」
一護の指先にもつままれた桜の花びらが一枚。
その花びらを凝視する啓吾と、その啓吾の姿を見続ける一護。
やがて、どちらからともなく、ぷっ、と噴き出した。
ひとしきり笑うと、笑顔のまま、残りの桜並木を歩いて行った。
手をつないだまま。
桜はまだ風に吹かれていて、いくつもの花びらが空を舞う。
二人きりの世界と言ってもいいかもしれないくらい、二人以外のひとはいなくて。
並木道を抜けるというところで、顔を見つめ合わせ、軽くキスを交わした。
頬が桃色だったのは、桜のせいということにしておこう。
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2008/05/03(Sat)15:53
一啓(BLEACH)
『好き』っていう言葉よりも、
『愛してる』っていう言葉よりも、
もっと最高な言葉ってないのかなぁ・・・、
って思ってさ。
まぁ、相談ってもそんだけなんだけど、どう思うよ。
何か良い言葉、ない?
「はぁ? 相談ってそんだけか?」
「え? まぁ、そーだけど」
『相談したいことがあるから、今からオマエん家に行ってもいい?』
と啓吾からのメールが一護に来たのが数十分前。
そして、啓吾が一護の家に着いたのが十数分前になる。
「んなコト言われたってなぁ・・・受け取る側にもよるんじゃねぇの? そういうもんは」
「それは俺も思ったんだけどさ~、やっぱ具体的な答えがほしいじゃん」
「・・・何でだよ」
頭を使うことに関してはいつも面倒くさがる啓吾が、今日に限っては後には引かず、
一護の部屋に入った時からずっと頭を悩ませている。
「つーかオマエさ、何でいきなりそんなこと考え出したわけ?」
一護が不思議に感じ、そう啓吾に訊ねると、啓吾はあっけんからんとした顔で、
「だって、一護に伝えたかったし」
と一言。
ひとときの静寂。
「・・・オマエ、それ本人から聞いたら何の意味もないんじゃねぇか?」
「あ、そっか」
ポンッ、という効果音がつきそうなリアクションをする啓吾。
どうやらそこまで考えが及んでいなかったらしい。
しかし啓吾は、あ、と声を出し、
「でもさ」
「あ?」
「一護に伝えたかったんだし、一護の一番聞きたい言葉を聞けばいいんじゃん?」
その言葉に固まった一護。
呆れたわけではなく、驚いて。
啓吾は唐突に、こういうことを言い出すのだ。
「ん? 一護~、どーした~?」
「いや・・・なんでもない」
真っ赤になった顔を見られないよう啓吾の方を向かず、一護は自分の理性を抑えた。
やべー、可愛すぎる・・・
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2008/05/03(Sat)15:51
茶雨(BLEACH)
彼は人の気持ち、というか想いに聡い。
犬の嗅覚並みに。
・・・それはさすがに言いすぎかもしれないが。
けれどその聡さは、僕にとっては喜ばしいものではあったが、同時に苦しいものでもあった。
僕はあまり、甘やかされたことがない。
師匠(せんせい)は優しかったが、甘やかされたことがなかったのを、僕は憶えている。
父は、まぁ、もともと甘やかすという概念がなかったと思う。
だから僕は、甘やかされたことがない。
もちろん、彼の隣や近くにいるのは心地がいい。
決して、近くにいるのが嫌なわけではない。
彼は、僕がそう感じていることは理解してくれているみたいだ。
だが、やはり甘えさせたいらしい。
彼は小さな動物なんかが大好きなのだ。
・・・僕は小動物ではないけれど。
彼の聡さには、助けられる反面、困ったものもあった。
さて、どうしよう。
彼のたくましい腕に包まれるのは好きだ。
だが、とても僕からは言い出せなく、いつも彼が気付いて、僕を抱きしめてくれる。
彼の腕の中は安心する。
彼は基本的に抱きしめるのが好きなようで、何かあると僕を抱きしめてくれる。
嬉しいときでも、苦しいときでも。
彼が僕を抱きしめるのは、彼が聡いからだ。
・・・嬉しい、と互いに言葉にしたことはないけれど。
「石田」
彼の声は良く耳に響く。
低く、安定した声。
この声に流されそうになる時もある。
けれど、恥ずかしさが先に立ってしまうことの方が、確実に多い。
どちらにしろ、僕は甘やかされるのが苦手なのだ。
甘えるのも苦手。
でも、彼は聡い。
そんな気持ちも感じ取ってしまう。
だから僕は甘えさせられる。
・・・少しだけ、強引に。
それにですら、僕は安心してしまう。
僕もそうできたら良いと思う。
彼のように。
『そう思わないかい? 茶渡くん』
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2008/05/03(Sat)15:49
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2008/05/03(Sat)15:46
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