不知新
右手で熱に触れる。
ぎゅっと掴むと、仕返しとばかりにもっと強い力で握り返された。
それがとてつもなく胸をくすぐって、自然と笑い声が小さく漏れる。
「ぬーやっさー」
「ううん、ぬーんでぃがらー」
右側に顔を向ければ、知弥が困ったような照れたような表情でこちらを見ていた。
嬉しくてまたつい笑みを濃くすると、
握られた手が軋むくらい掴まれて、ぐいっと前へと一歩ひかれた。
たたらを踏みそうになり文句を言うと、悪びれもなく、わっさんわっさん、と言われた。
「ねぇ知弥」
「ん」
「右手かして」
不思議そうな顔をしながらもこちらに向けて差し出した知弥の右の手のひらに、
左手の指で文字を書く。
わかりやすいように。ゆっくり丁寧に。文字と文字の間には間を空けて。
『す き』
「・・・やーなぁ」
「あはは」
してやった、と笑ってやれば、手を出せ、と言われ手のひらを向けて差し出すと、
『大 す き だ』
と書かれてしまった。
書かれた手のひらがくすぐったくて、紛らわすために繋いでいた手を一回大きく振ってみた。
手のひらに文字が書きたかったのがバレバレな一作。
不知新はこんな感じでずっとイチャイチャしてればいいよ!
静かにバカップルを発揮してればいいよ!ね!
基本的にウチの不知火サンは、新垣からされたことは二倍くらいにして返します。
(ほら、やられたらやり返せ!っていうじゃない)(使い方が違う!)
そのうちコメディチックなバカップル話も書いてみたい。・・・書けたら。(コメディ苦手なの・・・!)
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