茶一(BLEACH)
午前11時23分。
天気は、今のところ曇り。
午後の降水確率は40%、
と、お天気おねぇサンが言っていた。
その日、茶渡泰虎と黒崎一護は商店街に来ていた。
さしてどこに行くでもなく、ただただ歩くだけ。
誘い出したのは、一護のほう。
会話は、あまり弾んでいない。
「・・・」
「なぁ・・・」
「ム・・・」
「・・・なんでもねぇ」
2歩手前を歩く一護の姿を、茶渡は見つめる。
一護は黙々と歩く。
―――どこを目指すわけでもなく。
突然、茶渡の鼻になにかがあたる。
―――雨粒だ。
一護も気付いたのだろう、ハッとして茶渡を振り返る。
茶渡は目を見開いた。
けれど、それも一瞬。
茶渡は一護の手をとって、走り出した。
「お、おいっ・・・!」
一護が言うのも聞かず、茶渡は走り続ける。
雨のなかを、ひたすら。
着いたのは、商店街から外れたところにあるアーケード。
その下に入り、二人は肩で息をする。
「おい、チャド・・・っ、いきなし何・・・!」
一護が言うが早いか、茶渡は一護を抱きすくめる。
強く。一護を、誰の目にも入らないようにするかのように。
「チャ、チャド・・・?」
「泣きたいなら、言え」
「・・・っ」
一護の言葉をさえぎり、強くはっきりと茶渡は言葉を発する。
雨の音にかき消されないほど、強く。
「誤魔化せねぇか、やっぱ・・・」
「ム」
数秒の間の後、一護はかき消えそうな声で言った。
「・・・悪ィ、チャド・・・」
「あぁ」
一護は―――泣いた。
安心できる場所の一つで。
茶渡は、一護が落ち着くまで抱きしめた。
一護は、落ち着くまで茶渡に身をゆだねた。
幾分そうしていただろう。
―――雨は、やんだ。
雨を降らしきった雲が遠のき、太陽が顔を出す。
光が、地上に降りそそぐ。
「一護・・・」
「あぁ、もう大丈夫だ」
一護は顔を上げ、茶渡に言葉を返す。
「・・・帰るか?」
茶渡が問う。
一護が言葉を返す。
「いや、もう少し歩こうぜ」
ただ今の時刻は、午後4時02分。
時間は、まだたくさんある。
歩くことは、まだ出来る。
そして二人は歩き出す。
―――そんな二人を、太陽はずっと見つめていく。
セリフ以外の文がほとんど動詞で終わっている初心者の文・・・内容は好きなのになぁ。
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