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雑文。

雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。

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2024/11/23(Sat)02:40

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Caffee Alice. プロローグ(※パラレル)

2009/02/27(Fri)23:03

(※注意※ オリジナルキャラ視点)
 
『Caffee Alice.』
それがその店の名前だ。
友人に待ち合わせ場所として指定されたカフェは、駅前からちょっと裏道に入った場所にあった。
シックで西洋の町並みにありそうな、気を前面に出した外装は、
綺麗さゆえの厳しさを醸し出すとともに、優しい微笑みを浮かべていた。
外から見るに、店はさほど広くは見えない。
扉の横に引っ掛けてあるプレートには筆記体で「Caffee Alice.」と書いてある。
ここで間違いないな。
扉に手を掛けると、どうやら手前に引く扉のようで、引くと、ちりん、と小さなベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
声が幾重にも重なって聞こえた。
なかには間延びした声もある。
中に入ってみると広くは見えなかった店内は、無駄なものがないシンプルな内装で、
ゆったりとした時間が流れていた。
だからか、店は広く見えた。
カウンターは数席、テーブルは十セットくらいだろうか。
テーブルもイスもセットなのか、素敵なアンティーク調。
「お一人ですか?」
初めて入った店だったので、ずいぶん店内に気をとられていたが、
声をかけられ視線を自分の目の前に持ってくると、ウェイターさんが微笑んで立っていた。
二十代には見えない。十八才くらいだろうか。
眉尻が急に下がっていて少し気弱そうな印象も受けるが、
このお店の雰囲気と合わせると、ここで働いていて当然のような気がした。
「いえ、友人が一人、後で来ます」
「では、こちらへどうぞ」
案内された席は窓側の木漏れ日があたる席で、お昼前の陽気がぽかぽかと暖かかった。
 
不謹慎ながら、友人が少し遅刻してくることを願った。

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あとがき

No.64|テニス、その他。Comment(0)Trackback()

困った顔。

2009/02/11(Wed)21:20

山城→新垣 (不知新前提)
 
不意に見えるアノ笑顔は、俺の中をぐちゃぐちゃとかき混ぜる。
 
「山城、今どの行読んでる?」
振り向き終わらないまま口早にそう訊ねてきた新垣は、
国語の教科書を見せてきて、眉根を寄せる。
この間の席替えで、新垣の後ろになったのは、他人には自慢できない密かな幸福だ。
教科担任は他の生徒が読んでいるのを、教壇で教科書に目を落としながら聞いている。
困った顔は、あまり好きではない。
「聞いてりゃ分かるだろ」
「見つからないから訊いてるんだろう」
語尾を強めて言う新垣に、
今、教科書を読んでいるのが新垣の二つ前の席の奴だと思い出した。
どの教科でもたいして変わらないが、
席順に教科書を読まされるのが大概で、今も例外ではない。
苦笑を交えた溜め息とともに答えの箇所を指差すと、くしゅ、顔を緩ませて、
「にふぇーでーびる」
と笑い、また前を向きなおした。
読み手は新垣の一つ前の奴に変わっている。
少し経つと、今話した時とは違う声質で、新垣が教科書を読み始めるはず。
それまでの時間とその時間が、この退屈な授業の唯一の抜け道だ。
先ほどの笑顔が、意識せず頭の中に浮かんでくる。
 
からからと晴れ渡る空を頭に、大地をも揺らしそうなほど、皆が声をあげ練習が続く。
次の練習に移るまでのタイムラグ時に、
ふと、一枚の写真のように切り取られた空間が目に留まり、そのまま見入ってしまう。
辛くなることなど分かっているはずなのに。
新垣がいた。
不知火先輩がいた。
何を話しているかは、喧騒と距離の所為で分からない。
ただ、困ったように笑う新垣から幸せが溢れ出していた。
呼応する不知火先輩も笑っていて、その笑顔は、余裕さえ見えた気がした。
「新垣」
小さく零れた声は、届くはずがない。
 
困った顔は、あまり好きではない。
 
あとがき

No.63|比嘉。Comment(0)Trackback()

入道雲。

2008/11/12(Wed)22:21

銀謙
 
空は高く、からりとした青が視界に広がる。
時折真っ白い雲が青に映えた。
速さは陽気に似合いゆったりとしていて、陽が射す中で伸びをすると、
縮こまっていた皮膚の隅々にまで太陽の光が当たるような気がした。
上がっていた踵をつき大きく息を吸い込むと、
雨上がりのあの独特な、水分をたっぷり含んだ空気が身体の中に入ってきた。
雨のせいで溜まっていたもやもやを洗い流してくれそうだ、と謙也は思った。
その原因は、その雨だったのだが。
今日は久しぶりの晴れで、そして久しぶりの部活だ。
久しぶりと言うにはどうにもおかしいが、雨の間、室内の練習だけだったので、
外を走り回ってテニスをするのが好きな謙也には、今日の晴れが何よりのことなのである。
晴れた空をもう一度仰ぎ見ると、先ほど見上げていた時には視界になかった、
真っ白く大きな入道雲が視界の左端に見えていた。
入道雲は青に埋もれることはなく、むしろ青に推されるような、
また、青の存在を知っているかのように堂々と自分を誇示しているような、そんな感覚があった。
何や、誰かに似とるなぁ。
その白さや堂々とした出で立ちに白石が頭に浮かぶが、
どこか違って、空気の中へ放ってしまう。
ふわふわとゆったりした感じに千歳が頭に浮かぶが、
これも違い、空気の中へ。
あの誇示した感覚に金太郎が頭に浮かぶが、
白という色が絡まず、また空気の中へ。
誰やろか。
足元でバシャバシャと水と弄び、頭を捻りながら部室に向かうと、扉の前で声を掛けられた。
低く、されど心音のように安心できる声。
「ああ謙也、遅かったな、もうみんなコートに行っとるで」
ああ、そや、分かったぞ。
「謙也?」
全速で駆け抜けた先には先ほど踏んだ水溜り。
しかしそれをも越えて駆け抜けると、眼上にあの大きな白い入道雲。
「入道雲を見て思い出すなんや、重症やろー!」
大きく叫ぶが、空と雲の大きさには勝てず、声は空気の中に拡散された。
 


あとがき

No.59|四天宝寺。Comment(0)Trackback()

Call me whenever you feel lonely.

2008/09/26(Fri)21:48

不知新
 
携帯のランプが光ったのは、深夜零時を過ぎた頃だった。
ディスプレイを見てみると、メールではなく着信であり、俺は慌てて電話に出る。
「もしもし」
声が裏返りそうになりながらも、はっきりと告げた言葉の次に、
相手から紡がれた言葉はなかった。
無言の中に機械のノイズが混じる。
ノイズが聞こえると言葉を発することに躊躇してしまうのが人間の性だろう、
ずるずると無言が続いてしまう。
悪循環。
と、向こうで空気の動く音がした。
その音は息を吸う音だった。
しかしそれでも言葉が紡がれる気配がしないため、
相手が息を吸い込んだのを無理矢理音なのだと理解し、
相手は喋ったのだと自分を少しだけ騙した。
音がないと喋りにくいのなら、無理にでも音を作るまでのこと。
「浩一…どうした?」
瞬間、向こうで空気が止まるのが分かった。
きっと息を詰めたのだろう。
「あ」
意識せずに洩らしたのだろう言葉には、安堵と不安が隠(こも)っていて、
次にはあわあわと自分が洩らしたその単語をかき消すように言葉を紡いできた。
「なんでオレだって…」
「ディスプレイに表示されるだろう」
当たり前のことを不思議そうに言われて、思わず至極真面目に返してしまった。
するとまたノイズが聞こえはじめてしまう予兆があったので、急いでこちらから言葉を紡ぐ。
「で、どうしたんだ?」
「あー…んー…」
歯切れの悪い言葉に眉間に皺が寄るのが分かる。
何かあったのだろうか。
「いや、んー…あー」
尚も続く感動詞の羅列に、ふと、昔のことを思い出した。
小さな頃、こうやって電話を掛けてきては、
ずっと何も言えずにあー、うー、と必死に言葉を紡いでいたことを。
あの頃は、何故電話を掛けてきていたんだったか。
「あの、知弥」
「ん?」
「あ、いや、何でも…」
言い淀む浩一に、先ほどの思い出を追って、ある言葉が頭の中に浮かんできた。
小さな浩一が、小さな声で、言った言葉。
変わらない、と言ったら怒るだろうか。
「Call me whenever you feel lonely.」
「え?」
目を丸くした姿が、携帯越しにはっきりと見えた。
あとがき

No.58|比嘉。Comment(0)Trackback()

赤い雫。(※痛い表現有)

2008/08/14(Thu)16:12

織室
 
作品内で多少痛い表現を用いていますので、
「大丈夫」だという方のみ下の『読む。』からどうぞ。
 
室町好きな人も注意してください。(荻。も室町は好きです)
読む。

No.56|山吹。Comment(0)Trackback()