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2024/11/22(Fri)20:59
雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。
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2008/01/02(Wed)13:39
鳳日
珍しく部活がない休日。
俺の家に遊びに来ていた鳳が、最終回だった恋愛ドラマを見終わった後、ポツリと言った。
『こんなに完璧な話なんてないのにね』
それには少なからず俺も同感する。
…ドラマは、鳳が見始めて暇になったので一緒に見ていただけだ。
二年になってすこし経った頃、俺は鳳に告白をされた。
確かに一年の頃は同じクラスだったし、同じ部活でもあった。
俺のことを見ている時間は十二分にあったと思う。
でも俺は、女子特有の柔らかさも持っていないし、
そんなにか弱いつもりも、女顔なわけでもない。
逆に、スポーツをやっているから筋肉も結構ついているし、目つきもキツイ。
でも、俺は鳳に告白されても、存外嫌な気持ちにはならなかった。
男同士なんてありえないと、その前まで何度も豪語していたにもかかわらず。
告白されたとき、俺は『分からない』と答えた。
鳳が『今の告白、嫌だった? それとも、別にどうともない?』と訊いてきたからだ。
案外、鳳は卑怯者だ。
それからすこしずつだが、鳳との距離が縮まっていった気がする。
そして、一度だけ唇を許した…というより、許させられた。
掠め取られるくらいの、不意打ちの簡単なキスで。
それでも嫌な気がしなかったのは、俺が鳳のことを許しているからなのだろうか。
「日吉? ひーよーし」
物事に耽っていたら、目の前に鳳の顔があった。
右手は俺の頭をぽすぽすと叩(はた)いている。
途端、無性に気に触れて、前に俺がやられたように不意打ちでキスをしてやった。
嫌じゃないのなら、一回しているんだ、どうってことない。
「どうした。動けないからそこをどけ」
目の前に身を乗り出していた鳳の身体を右手で押しのけ、立ち上がろうと片膝をつく。
力をこめ、前に体重を掛けながらあと一歩で立ち上がれるという時に、
鳳の腕が身体にまとわりついた。
「おい、鳳、離せ!」
「あははっ、本当に完璧じゃなさすぎ! 未完成すぎるよ!」
ね、日吉! と腹筋を最大限にまで震わせて、鳳は何が楽しいのか、
俺の腕に収めたまま大声で笑い転げた。
こういう時、鳳の体格が大層恨みがましく思える。
「名づけるなら、未完成ラブストーリー?」
何がだ。
No.5|氷帝。|Comment(0)|Trackback()
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