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雑文。

雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。

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2024/11/22(Fri)21:47

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アカバナー。

2009/06/08(Mon)01:41

比嘉オール(新垣誕生日文)
 
その日の朝、新垣は遅刻ぎみで学校に着いた。
珍しく朝練がない日だったので救われたが、朝練に遅刻なんて以ての外で、
席に着いたとき、二重の意味で安堵した。
 
「よ、ギリギリぐゎーやさ」
「あぁ。ウキミソーチ、山城」
 
席に着くと、同じ部活の山城が声をかけてきた。
部内は仲が悪いわけではないが、やはり二年のレギュラーが新垣だけということで、
二年の部員からの新垣への風当たりは多少強い。
その中で山城だけは準レギュラーであるためか、新垣と一番普通に接する。
同じクラスということもあり、二年の部員としては新垣ともっとも親しいだろう。
 
「なぁ山城、クリぬ~?」
「ぬーって…アカバナー」
「そうあらんくて。ぬーんちくまーんかいあるぬかってくとぅ」
 
新垣は机の上にある赤い切り花を指差した。
アカバナーは花びらも初々しいままで、どうやら朝のうちに置かれたものらしい。
花に罪はないので、仕方なしに机の横に置いたカバンの上にそっと乗せる。
 
「でぃっか。朝からあいびーたんしな」
 
山城の言葉を食いチャイムが鳴る。
慌てて小さく別れの言葉を告げ、山城は自分の席へと戻った。
しかし、一体誰が花を置いたのだろう。
 
 
 
チャイムが鳴った。
教科書を机の中に放り込むと同時に立ち上がり、
カバンの上のアカバナーをそっと持つと、カバンを背負い上げ教室を出た。
廊下を歩くと、窓から差し込む光が真っ直ぐで、淡い雲だけがその真っ直ぐさを和らげている。
今日も海水と太陽に身体を預けるとなると、
いささか自分が手の中のアカバナーのような植物になったように感じられる。
部室に辿り着くと、歓迎できないような事態が待っていた。
赤く目立つのは手の中のものと同じ、二つのアカバナーだった。
嫌がらせ、なのだろうか。
 
「や、新垣」
「おー、新垣ー」
「はいさい、甲斐先輩、平古場先輩」
 
自分のロッカーの前に立ち尽くしていると、
甲斐と平古場がユニフォーム姿でドア付近に立っていた。
何か違和感を持っていると、いやに楽しそうに二人の口角が上がっていることに気がついた。
 
「クリ、甲斐たちがやったんやいびーんか??」
「ゆたさんや、あらん」
 
そう言っても後ろの平古場が堪えきれずに笑っているのだから、信じろというほうが無理だろう。
どう言ったものか考えていると、甲斐もつられて笑う。
これ以上訊いてものれんに腕押しだと感じたので、おとなしく引き下がり、用意を始める。
正直、部活の開始時間に遅れるのは避けたい。
用意が終わり、二人を礼をし部室を出ようとドアノブに手をかけようとすると、
ドアノブが手のひらから逃れていった。
開く音の後には眩しい太陽の光、
そう思い目を細めると、不思議とかげったままで光は降ってこなかった。
 
「裕二郎、凛、部活始まるぞ」
 
本当はドアノブが勝手に逃れたわけではなく、知念がドアと開けたからで、
光が来なかったのは、知念がドア前で立っていたからだった。
 
「知念先輩、はいさい」
「…あぁ、新垣」
 
用件を言ったからその場から立ち去るのかと思っていると、
知念は逆に部室の中に入り自分のカバンを探り始めた。
甲斐と平古場は用は終わったというように、知らぬ間にさっさと部室を後にしてしまっている。
 
「待ってろ」
 
部室を出ようにも先輩に出て行かぬように言われてしまっては、
出て行くわけにはいかない。
がさごそと探る音が届くが、乱暴な音には聞こえないので、
手荒には扱えないものだと推測できる。
しかし新垣が知念に何か貸した覚えも、貸される覚えもないので、
知念の行動がいまひとつ分からない。
学年も違うので、学年配布物だとも思えない。
 
「クリ」
「…アカバナー?」
「部活、始まるぞ」
 
四つ目のアカバナー。
表情を作るなんて出来ず、ただ手の中に納められたアカバナーを凝視する。
一声かけ、知念は部室を出て行ってしまう。
続くアカバナーの贈り物に疑問と不安を覚えるが、
それよりも先に部活に参加することのほうが先決だった。
不思議なことが続く恐怖よりも、顧問や主将のほうが数倍も怖いからだ。
 
 
 
「にふぇーでーびたんー!」
 
髪から海水を散らし、部員全員が思い思いのペースで浜へ向かっていく。
顔を上げた途端、髪を伝ってきた水が口にかかり、煩わしくて手の甲で拭った。
ぼうっと沖を眺めると、いつものことだが夕日が海に身体を浸していた。
いつもこの地に身体を置いているから忘れがちだが、
この地はこんなに綺麗なものなのだと、時折改めて感じることがある。
息のしずらさに酸欠の一歩手前のような感覚を覚え、
新垣は深く息をしながら浜へ向かい、帰る準備のため部室へと足を速めた。
 
「あ、新垣、まやっさー居たか」
 
良かった良かったと笑うのは田仁志。
ほとんどの部員は帰ったようで、残っていたのは数人のレギュラーだった。
 
「ほれ、クリ」
「ああ、俺も渡し忘れてましたね。おめでとうございます」
 
固まってしまった。
全部で六つになったアカバナーの花。
他の部員…たとえば甲斐たちの悪ふざけだけだとしたらこのことは悪戯だと思えたのに、
主将の木手までもがアカバナーを渡してきて、新垣はいよいよ考えることを放棄しようとした。
ましてや田仁志までもが渡してくる時点で窒息しそうになった。
なんなのだろう、今日という日は。
 
「え、あ…アヌ」
「それじゃあ。不知火くん、鍵頼みましたよ」
 
扉が閉ざされて、疑問も胸の中のわだかまりも消えぬまま、
不知火と新垣を残し、他の部員たちは連れ立って帰ってしまった。
この六つもあるアカバナーをどうしろというのだろう。
 
「新垣、とりまへーく用意してくれ」
「あ、うん」
 
幼馴染みに迷惑をかけるわけにもいかないので、すばやく用意をはじめる。
早めに部室を出たつもりだったのに、鍵を返しに行ったりしたためか、
もう太陽は海のなかに潜っていた。
 
「あー、暗い」
「日や伸びてきやしがな」
「だぁと同時んかい部活ぬ時間も伸びやしがな!」
 
他の三年生と話していたらこうもいかない会話の続きように、新垣はほっとした。
昔から一緒にいた不知火だからこそ多少の変な話題でも続くし、
言葉に詰まってもきちんと汲み取ってくれる。
六つも手元にある不思議なアカバナーのことも、気にすることなく会話ができるのだから、
今日の鍵当番が不知火で良かったと新垣は思う。
 
「新垣」
「ん?」
「たぶん気づいてねーらんから不審んかい思っちょるんだはずんやしが、
とりあえずクリを渡しておく」
「…また」
 
思い出したくもない物体がまた一つ増えた。
ということは、三年レギュラー全員で仕組んだことなのだろうか。
何のために。
 
「まぁ、発案的んかいや平古場がな。学生ってぬやジンがねーらんからな」
「不知火やちばりよばジンばんないあるし。てか平古場先輩がぬ~?」
「とぅしびーやっさーろ、やー」
 
そういうことか、と新垣は納得した。
よくよく思い出してみれば、昨日母が、明日が楽しみね、と言っていた。
朝は遅刻ギリギリな時間に起きたので誰とも会話することなく家を出てきたから、
忘れてしまったのだろう。
 
「しいしぬーんちアカバナーを…平古場先輩や」
「でぃっか。似合うやっさーぬーやっさーとあびてぃたぞ」
 
それは検討違いすぎるかな、と思いつつも、自分の誕生日を覚えられていたことが嬉しくて、
七つになったアカバナーを眺めた。
朝に手にしたアカバナーはすこし力をなくしていたが、
きちんと水につけてあげれば大丈夫だろう。
七つのアカバナー…七つ?
 
「おめでとう、新垣」
 
照れくさそうに言う幼馴染みにこの疑問をぶつけることができなくて、
家で上の空でいると、母親にせっかくの誕生日なのに、と用意された夕飯の前で嘆かれた。

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あとがき

No.68|比嘉。Comment(0)Trackback()

新垣誕生日!2009

2009/05/22(Fri)21:40

紫の妖精こと新垣浩一の誕生日!わー!
一日遅れでしたが、オフでお祝いいたしました=☆
 
オフ企画は『キャラケーキ』
普段料理をまったくしない管理人ですが、新垣のために後輩Aと一緒に頑張りました(笑)
(ちなみに後輩Aは新垣を知りませんw)
 
用意したもの。
・板チョコ(普通の一枚、ホワイト二枚)
・デコペン(普通のチョコ)
・食紅(赤、青)
・簡易ケーキ土台のもと
・生クリーム
・牛乳
・卵(二個)
 
作り方は簡単なので省きます(笑)
 
キャラケーキに欠かせないのはキャラチョコですね!
管理人、必死こいて頑張りました。
キャラチョコの元画像はこちら↓↓↓

何故幼少期のものを使用したかといいますと、
OVAでの画像もあったのですが、試合中で必死な顔をしていたので(素敵ですがv)、
「これは誕生日にはなぁ」と思い、
思いっきり良い笑顔をしている幼少期の画像を使用いたしました。
私、新垣がアニメ画でいつか微笑んでくれるって信じてる!
 
そして!
肝心のキャラケーキです!
 
土台への配慮は無用で、キャラチョコに全身全霊を込めました☆
初めての割には上手くできたと思います(笑)
本当に新垣、誕生日おめでとう!!
 
 

蛇足。
よく見ると、腕が…乗せるときにやっちゃいました;;(苦笑)
 
(管理人と後輩Aと管理人の妹の三人でおいしくいただきました=☆)

No.67|比嘉。Comment(0)Trackback()

風が王。

2009/04/20(Mon)23:26

凛新
 
海の向こうから吹く風は、いつも前髪を蹴散らして顔全体を否応がなく晒した。
でこも鼻も頬も唇も掠めながら、こちらが目を開けられないことをいいことに好き勝手する。
反撃の手だてはなく、ただ全てを晒すことを強要してきた。
 
その姿は正に太陽のようだった。
性格もさることながら、やはり一番、目を惹くのはその容姿だ。
太陽の光を自分のものとして輝く様は正に太陽の化身。
加えて太陽には見えない爛漫な笑みが、その存在を一層目立たせていた。
近くにいてもいいものなのか。
時々、近くに居ると、眩しく感じ過ぎ、その存在がどこにあるのか分からなくなった。
 
頂点にあった太陽が海に顔を半分ほど埋め始め、海を侵していた。
そのコントラストが綺麗で、帰り道、ふと見惚れて足を止めた。
いつもの光景なのだが、今日は近くに太陽の化身がいたからか、どうにも惹かれてしまった。
「ちゃーさびたが新垣」
ずいぶん足を止めていたのか、怪訝そうな顔が、左の頬に張り付いてた。
金色の髪が風になびく。
「すみやびらん、ぬーんでぃがらーありやびらん」
近すぎる顔にどぎまぎしながら、また歩き始める。
二人きりで、太陽が近くにあるとすれば、意識せずにはいられない。
しかし眩しすぎて、直視はできない。
「新垣、ぬー考えてんぬか知らねぇしが、遠慮しなくてゆたさんんばーよ」
何せ恋人同士なのだから。
隣から前に移動し歩く平古場先輩は、そう口にした。
自分でも対等にいたいと思う。
太陽が自ら選んでくれた、そのなくてはならぬ存在の、対極にいる月の位置へ。
でも届かない。
「しーじゃーウットゥーやなし、な」
「やてぃんやっぱりぬーやっさーか、まやっさー抜けきらねーらんんでぃいーんか、なれなくて」
対等でいたい、届きたい、と交錯する。
それに何だか、自分だけが焦がれているようで・・・などとは恥ずかしくて言えない。
「自信持てよ。どぅーやっさーけが・・・ぬーんでぃ思うなよ」
不意な言葉に、知らぬ間に下げていた視線を上げると、
太陽の形容にふさわしい金色の髪があった。
沈む太陽は、太陽を超える存在が残ることを許せなかったのだろうか、
海の向こうから風を寄越した。
水面(みなも)に映り揺れる太陽のように金色の髪が舞い、平古場先輩の耳と頬が見えた。
それは微かに赤くて。
「ははっ」
「ぬやが」
近くにいるのは太陽ではない。
眩しく光る、ただの恋人だ。
風に負けた太陽は、ただの人間だった。
風は太陽の全てでさえ暴く。
届く距離に、居る。
 

あとがき

No.66|比嘉。Comment(0)Trackback()

新垣絵チャ!ログ。

2009/04/15(Wed)11:15

四月十二日に新垣絵チャを主催いたしました!(告知は手ブロにてさせていただきました)
もしかしたらかなり淋しい絵チャになるのでは・・・と危惧していたのですが、
沢山の方がご参加下さって、とっても幸福な時間を過ごすことが出来ました^^
 
参加者様 (△・14:00~の部、□・22:30~の部)
朔夜 様 △□
焔-en- 様 △
Buront 様 △
mikata 様 △
佐藤晶 様 □
 
皆さまにログ許可を願ったところ、快諾してくださったので、ログを上げさせていただきます。
本当、家宝になりそうです^^*
 
(尚、パソコンのスクリーンショットや、絵チャでのキャプが上手く作動しなかったので、
携帯での撮影、および各個人様の絵を一つにまとめてあります。すみません;;)
 
 
   
作・荻。
ネタも本気も入り乱れまして、本当にテンションがおかしかったです。
楽しかったです^^
 
   
作・朔夜 様。
朔夜 様の絵はいつ見ても可愛いv
新垣にウサ耳は罪! お家で飼いますよ!!(笑)
普段、朔夜 様はオリジナルで活動されているので、
まさか新垣を描いてくださるとは夢にも思ってませんでした!
ありがとうございます^^
 
 
作・焔-en- 様。
か、格好良い・・・焔-en- 様が描いている間、ほとんど見惚れていました。
剣士新垣もウサギ好きなら負けない発言している新垣も、本当に美麗!
剣士新垣のほうでは、新垣の向かう先に私の描いた遊技王風味の新垣がいて、
微力ながらお相手させていただきました(笑)
 
 
作・左:焔-en- 様、右:荻。
私がちみっこい新垣を描いたら、となりに焔-en- 様がちみっこい新垣を描いてくださいました。
うわわわわ、嬉しいv
 
 
作・mikata 様。
斬新過ぎてむしろすごく愛おしくなってしまった「あらがきがっぱ」。
人外スキーな私としてはこれは話を一本書くべきかと本気で悩みます。
mikata 様の手ブロでの悪い顔シリーズ、大好きです!
 
 
作・佐藤晶 様。
フリフリエプロンにウサギ柄のミトンをつけた新垣・・・相当可愛い。
はじめは新垣のみだったのですが、りんあら仕様に変更され・・・
胸に、胸に何か刺さった・・・! 何だこの鼓動は・・・!(キュンキュン)
私の写メ技術が足りないばかりに、
右側のクッキー軍団にいたウサギクッキーが写しきれませんでした。くそう。
 
 
本当にとても幸福な時間でした。
22:30~の部では、佐藤 様と午前二時半近くまでお話させていただいてました^^*
翌日は寝不足も気にならないほど興奮が冷めず、テンションがヤバかったです。
今も興奮は冷めていないのですが!
普段チキンハートが邪魔をして、コメントすら残しにいけない私ですが、
今回勇気を出して主催をして良かったです^V^
また今度、新垣スキー様とお話できる場が持てたら、と思います。
 
参加くださった五名様、本当にありがとうございました!!
 
(何か不備がありましたら、メールフォームよりどうぞ)

No.65|比嘉。Comment(0)Trackback()

困った顔。

2009/02/11(Wed)21:20

山城→新垣 (不知新前提)
 
不意に見えるアノ笑顔は、俺の中をぐちゃぐちゃとかき混ぜる。
 
「山城、今どの行読んでる?」
振り向き終わらないまま口早にそう訊ねてきた新垣は、
国語の教科書を見せてきて、眉根を寄せる。
この間の席替えで、新垣の後ろになったのは、他人には自慢できない密かな幸福だ。
教科担任は他の生徒が読んでいるのを、教壇で教科書に目を落としながら聞いている。
困った顔は、あまり好きではない。
「聞いてりゃ分かるだろ」
「見つからないから訊いてるんだろう」
語尾を強めて言う新垣に、
今、教科書を読んでいるのが新垣の二つ前の席の奴だと思い出した。
どの教科でもたいして変わらないが、
席順に教科書を読まされるのが大概で、今も例外ではない。
苦笑を交えた溜め息とともに答えの箇所を指差すと、くしゅ、顔を緩ませて、
「にふぇーでーびる」
と笑い、また前を向きなおした。
読み手は新垣の一つ前の奴に変わっている。
少し経つと、今話した時とは違う声質で、新垣が教科書を読み始めるはず。
それまでの時間とその時間が、この退屈な授業の唯一の抜け道だ。
先ほどの笑顔が、意識せず頭の中に浮かんでくる。
 
からからと晴れ渡る空を頭に、大地をも揺らしそうなほど、皆が声をあげ練習が続く。
次の練習に移るまでのタイムラグ時に、
ふと、一枚の写真のように切り取られた空間が目に留まり、そのまま見入ってしまう。
辛くなることなど分かっているはずなのに。
新垣がいた。
不知火先輩がいた。
何を話しているかは、喧騒と距離の所為で分からない。
ただ、困ったように笑う新垣から幸せが溢れ出していた。
呼応する不知火先輩も笑っていて、その笑顔は、余裕さえ見えた気がした。
「新垣」
小さく零れた声は、届くはずがない。
 
困った顔は、あまり好きではない。
 
あとがき

No.63|比嘉。Comment(0)Trackback()