凛新
海の向こうから吹く風は、いつも前髪を蹴散らして顔全体を否応がなく晒した。
でこも鼻も頬も唇も掠めながら、こちらが目を開けられないことをいいことに好き勝手する。
反撃の手だてはなく、ただ全てを晒すことを強要してきた。
その姿は正に太陽のようだった。
性格もさることながら、やはり一番、目を惹くのはその容姿だ。
太陽の光を自分のものとして輝く様は正に太陽の化身。
加えて太陽には見えない爛漫な笑みが、その存在を一層目立たせていた。
近くにいてもいいものなのか。
時々、近くに居ると、眩しく感じ過ぎ、その存在がどこにあるのか分からなくなった。
頂点にあった太陽が海に顔を半分ほど埋め始め、海を侵していた。
そのコントラストが綺麗で、帰り道、ふと見惚れて足を止めた。
いつもの光景なのだが、今日は近くに太陽の化身がいたからか、どうにも惹かれてしまった。
「ちゃーさびたが新垣」
ずいぶん足を止めていたのか、怪訝そうな顔が、左の頬に張り付いてた。
金色の髪が風になびく。
「すみやびらん、ぬーんでぃがらーありやびらん」
近すぎる顔にどぎまぎしながら、また歩き始める。
二人きりで、太陽が近くにあるとすれば、意識せずにはいられない。
しかし眩しすぎて、直視はできない。
「新垣、ぬー考えてんぬか知らねぇしが、遠慮しなくてゆたさんんばーよ」
何せ恋人同士なのだから。
隣から前に移動し歩く平古場先輩は、そう口にした。
自分でも対等にいたいと思う。
太陽が自ら選んでくれた、そのなくてはならぬ存在の、対極にいる月の位置へ。
でも届かない。
「しーじゃーウットゥーやなし、な」
「やてぃんやっぱりぬーやっさーか、まやっさー抜けきらねーらんんでぃいーんか、なれなくて」
対等でいたい、届きたい、と交錯する。
それに何だか、自分だけが焦がれているようで・・・などとは恥ずかしくて言えない。
「自信持てよ。どぅーやっさーけが・・・ぬーんでぃ思うなよ」
不意な言葉に、知らぬ間に下げていた視線を上げると、
太陽の形容にふさわしい金色の髪があった。
沈む太陽は、太陽を超える存在が残ることを許せなかったのだろうか、
海の向こうから風を寄越した。
水面(みなも)に映り揺れる太陽のように金色の髪が舞い、平古場先輩の耳と頬が見えた。
それは微かに赤くて。
「ははっ」
「ぬやが」
近くにいるのは太陽ではない。
眩しく光る、ただの恋人だ。
風に負けた太陽は、ただの人間だった。
風は太陽の全てでさえ暴く。
届く距離に、居る。
初の凛新・・・どうでしょうか^V^
ストーリーや比喩は気に入っているのですが、いかんせん表現技術が低すぎて、いや何とも。
メンタルっぽいお話ですが、結局は二人とも互いが大好きだという、ただそれだけのお話です。
凛新は、リンクさせていただいている「icy flower」の佐藤 様オススメの新垣受CPで、
先日の新垣絵チャの時に書くお約束をさせていただいたので、書かせていただきました!
今まで新垣受だと不知新しか脳内になかったので、新境地に立たされた気分*^-^*
すっごく楽しかったですっ。
蛇足ながら・・・凛新はキラキラしていると思いますv
方言解説
・ちゃーさびたが新垣=どうした新垣
・すみやびらん、ぬーんでぃがらーありやびらん=すみません、何でもありません
・新垣、ぬー考えてんぬか知らねぇしが、遠慮しなくてゆたさんんばーよ
=新垣、何を考えてんのか知らねぇけど、遠慮しなくていいんだぜ
・しーじゃーウットゥーやなし、な=先輩後輩はなし、な
・やてぃんやっぱりぬーやっさーか、まやっさー抜けきらねーらんんでぃいーんか、なれなくて
=でもやっぱり何だか、まだ抜けきらないというか、なれなくて
・自信持てよ。どぅーやっさーけが・・・ぬーんでぃ思うなよ
=自信持てよ。自分だけが・・・何て思うなよ
・ぬやが=何だよ
※方言は全て変換機に頼らせていただいています。
実の会話言葉ではないかもしれないことをご了承ください。
変換サイト様→
もんじろう 様
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