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雑文。

雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。

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聴。

2008/04/02(Wed)00:35

不知新
 
「ご、ごめん、知弥…」
「いや、いいしが…あ、くぬぅやろ…ッ!」
「それにしてもどうしたんだ、ともやのヤツ・・・いつもは大人しいむんぬ」
きっとその小さな体内では野生に勝るとも劣らない筋肉が稼動しているのだろう。
周りに響くほどの地面を蹴る音が聞こえる。
地面を這いつくばるかのように移動しているのに、その速さは尋常ではない。
いや、実際には這ってはいない。不知火たちの視線が上からなのでそう見えるのだ。
ピンッと耳を立てて次の追っ手に備える姿は、とても小動物とは思えないほど、勇ましかった。
新垣の持ったリードから逃れた、
数メートル先で不知火たちに背を向けて微動だにしない新垣家の黒ウサギ・ともやは、
不知火たちが近づく度に逃げ、また遠くで耳を立て追っ手に備える。
「くぬぅ…!」
不知火が姿勢を低くして瞬発力を利用しともやを捕まえようとする。
しかしまた逃げられ、同じように耳を立てられる。
姿勢を低くしていたことによってたたらを踏んだ不知火に、ふとどこかから視線が飛んできた。
不意に辺りを見回し始めた不知火に疑問を感じた新垣が声をかける。
「知弥?」
「いや、なんでもない」
辺りはひらけているにもかかわらず、遠くを見ても人影は一つも見えなかった。
気のせいか、とまたともやに向き直った不知火は、
じっとともやが自分のほうを見ていたことに気がついた。
…くぬちゅか…?
ウサギは元々あまりキョロキョロと視線を泳がせないものなので
じっと見ていても不思議ではないのだが、
それにしても何かしらの感情を読み取れるような、そんな類の視線のように感じた。
その感情のような何かを感じようと黒く大きな瞳を見ていると、その瞳の位置が一気に上昇する。
「よっし、やっと捕まえた!」
土色の地面に這っていた黒い塊が、今度は新垣の腕の中にあった。
不知火と視線を交わしている間に近くに寄って行っていた新垣によって抱き上げられたのだ。
すこし怒ったような口調でともやに言い聞かせる新垣だが、その表情は綻んでいて、
ついには鼻を寄せてくるともやに楽しそうに笑っていた。
 
「しんけん、ごめんな、知弥」
「なんくるないさー」
昼間は真っ青な海が夕陽のオレンジ色に侵食されていて、空の水色も濃紺に染まり始めていた。
ともやが逃げ出して新垣が抱き上げてからは、また逃げ出してはいけないと、
今日はずっと新垣がともやを抱いたままでいる。
「本当、いつもはおとなしいんやしが…」
呟かれた新垣の言葉に、光に照らされた髪を見ていた不知火は、ふっ、と視線を落として、
腕の中にいるウサギに目をやった。
すると、一部のズレもなく視線が交差し合う。
またしても感情が垣間見えるようでじっと瞳を見てしまう。
『ともやは一人でいいのにぃ』
耳に直接聞こえてきた声に反射的に、バッ、と耳を塞いだ不知火に、
ともやは、ふいっ、と視線を外し、新垣は「ぬーっ、知弥!?」と声を上げた。
 
 
 
書き直して書き直していたら、いつの間にか「VS」要素がなくなっていました。
本当はもっと分かりやすい「不知火VSウサギ」だったはずなのに…私はこれをよくやらかします。
私、メモは書きますがプロットは書きません。何故ならば絶対にプロットと話がズレるからです!
(威張れないのは知っています。開き直りです)
文も不発なればネタも不発とは…どれだけ私は不発させれば気が済むんだろう。
よし、今度もっかい「VS」やろう、うん!
ってことで不知新である要素がまったく見当たらない『聴。』がやっと書き終わりました。
最初に書いていた文と話が違ってきたので、完全に開き直って新しく書き直しました。
えーっと、不知新大好きっ、はい!(書き逃げ)
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No.31|比嘉。Comment(0)Trackback()

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