不知新
「知弥、しちゅん」
からとした空はその言葉をかけているかのように晴れ渡り、
風が熱さを持たずに肌を触って行った。
心地よくて目を閉じる。
そんな風のように日常と化し、するりと通り抜けてしまう言葉は、耳に心地よかった。
会うたびに一度はそう伝えてくれる新垣は、幸せと不安を俺に教えてくれる。
通じ合った喜びと、確かめるほどの不安を、俺の名前と自分の感情を唇に乗せて。
毎度ながら新垣だけにそう言ってもらうのも忍びないと思うけれど、
自分の性格ゆえか、どうにも口に出しづらい。
心の底から溢れて止まないほどの想いがあるというのに、心の内でしか言葉にできない。
けれどきっと、新垣が言っている以上に、
そして自分が思っている以上に、愛しい言葉は出来ている。
「あ、知弥、発見」
嬉々として上がる声に、読んでいた本から目を離し、後ろにいた新垣に目を向ける。
目を細め微笑んでいた新垣に、心の中が何かで満ちる。
「しちゅんって言うとさ、笑ったようんかいなる」
ほら、というように「しちゅん」とゆっくり言う唇は、幸せそうに笑った。
自分も口にできれば、こんな風に愛おしそうに笑えるのだろうか。
久しぶりにきちんとした不知新をお届けします^v^
ここの不知新は万年夫婦っぽいのに新婚夫婦っぽいというのを如実にあらわしてみよう、
と思い、小ネタ話の中からネタを引っ張ってきました(笑)
不知火は鈍い奴ですが、内心新垣が大好きです。新垣は不知火が全身で大っ好きです。
そんなうちの不知新w
方言の翻訳はこちらのサイト様にお世話になりました。いつも助けてもらってます(笑)
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