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雑文。

雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。

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2024/11/22(Fri)15:14

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優しさへの甘え、己の弱さ。

2009/08/16(Sun)00:49

白玉×錦織
※昔の勘違いで白玉が山吹に所属していたことになっています※
 
日も暮れ、夕日の橙が秋の色に染まってきている頃、
部活を引退する三年生のための引退試合が山吹中のコートで行われていた。
無礼講なこの引退試合で三年生をコテンパンにしようと一、二年は意気込むが、
はやり三年生の力というのは強く、それを肌で感じ次の成長へのステップとするためにも、
この引退試合は毎年続けられている。
無論、三年生も全力で後輩たちと戦ってゆく。
「白玉先輩」
コートで試合後の片付けと調整をしていた三年の白玉に声をかけたのは二年の錦織だった。
いつもは溌剌と人懐っこい笑みを浮かべる錦織は、
このときに限って俯き、顔に影を落としていた。
「ん?何だい、錦織」
「ちょっと、いいですか?」
「うん。部室で待ってて」
「はい」
影は錦織の顔だけではなく、心の中にもその存在を落としていた。
終わらせるのだ、と、そう心に決めていた。
「で、何かな」
十分もしないうちに部室へと来た白玉は、見透かすように、
なんとなく悲しそうな笑顔で錦織と向き合った。
その顔に決心が揺らぎそうで…それでも錦織は口を開いた。
「…僕たち、もう終わりにしませんか?」
「男同士の恋愛には厭きたか?」
「そうじゃないですけど…」
今、錦織の胸の中には二人の人間がいる。
片方は白玉、もう片方は最近胸の中に入ってきた日焼けした肌が目を打つあの子。
白と黒、極端に見える二人を錦織は同じ濃さで見ていた。
しかしそのうち黒が勝(まさ)った。
白玉の姿が、影が、今こうしてはっきりと見えているのに、
思い浮かべようとするとふいっと揺らぎ消えてしまう。
要するにその存在に心が揺れ動いてしまったのだ。
そうなってしまえば、あとは互いに辛くなっていくだけだと思ったと同時に、
自分だけならまだしも、白玉にまで辛い思いをさせてしまうのは心苦しかった。
「白玉先輩のことは今でも好きです。それは変わりありません」
本心を告げた。
数秒…一秒もなかった沈黙に、身体のどこかがおかしくなりそうだった。
「…どうして、って訊いても?」
答えられなかった。
「うん、君がそうしたいならそれでいいよ」
「白玉先輩」
「でも最後に、いい?」
部室に来たときから変わらぬあの悲しげな笑みのままで白玉が言ったことを、
錦織は拒否することは出来ず、返事も出来なかった。
それでも伝わってしまっているのだろう、錦織の心は。
離れてゆく熱に終わりを感じ、
それは、二人で触れ合った口づけの中で、一番悲しい口づけとなった。
「もう一度訊くけど、俺のこと嫌いになったわけじゃないんだね?」
「はい」
「そうか。今までありがとう、翼」
「僕こそ」
「いつでも横は空けておくから。次の恋人できなくて淋しくなったら、いつでもおいでよ」
格好つけた言葉だと客観的に見ていたら思うであろうその言葉も、
今までずっと近くにいた錦織には、白玉の最大の優しさであることが痛いほど身に感じ取れた。
これで良かった、これが、良かったことなんだ。
扉を開け部室を出て行く白玉の姿はこれで見納めとなる。
白玉は三年で、引退試合も今日したのだ、
これからは自分たちが部を引っ張っていかなければいけない。
このタイミングで白玉に告げたのはきっと、
これから白玉と顔を合わせることが極端になくなることを分かっていた自分の弱さなのだと、
錦織は胸の痛みで自覚した。
こんな僕を好きだと言ってくれて、ありがとうございます。
白玉の優しさへの感謝と、胸の痛みも相俟って、涙が夕日の光を吸った。
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あとがき

No.72|テニス、その他。Comment(0)Trackback()

Caffee Alice. プロローグ(※パラレル)

2009/02/27(Fri)23:03

(※注意※ オリジナルキャラ視点)
 
『Caffee Alice.』
それがその店の名前だ。
友人に待ち合わせ場所として指定されたカフェは、駅前からちょっと裏道に入った場所にあった。
シックで西洋の町並みにありそうな、気を前面に出した外装は、
綺麗さゆえの厳しさを醸し出すとともに、優しい微笑みを浮かべていた。
外から見るに、店はさほど広くは見えない。
扉の横に引っ掛けてあるプレートには筆記体で「Caffee Alice.」と書いてある。
ここで間違いないな。
扉に手を掛けると、どうやら手前に引く扉のようで、引くと、ちりん、と小さなベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
声が幾重にも重なって聞こえた。
なかには間延びした声もある。
中に入ってみると広くは見えなかった店内は、無駄なものがないシンプルな内装で、
ゆったりとした時間が流れていた。
だからか、店は広く見えた。
カウンターは数席、テーブルは十セットくらいだろうか。
テーブルもイスもセットなのか、素敵なアンティーク調。
「お一人ですか?」
初めて入った店だったので、ずいぶん店内に気をとられていたが、
声をかけられ視線を自分の目の前に持ってくると、ウェイターさんが微笑んで立っていた。
二十代には見えない。十八才くらいだろうか。
眉尻が急に下がっていて少し気弱そうな印象も受けるが、
このお店の雰囲気と合わせると、ここで働いていて当然のような気がした。
「いえ、友人が一人、後で来ます」
「では、こちらへどうぞ」
案内された席は窓側の木漏れ日があたる席で、お昼前の陽気がぽかぽかと暖かかった。
 
不謹慎ながら、友人が少し遅刻してくることを願った。


あとがき

No.64|テニス、その他。Comment(0)Trackback()

名前。

2008/05/11(Sun)12:15

錦江口(会話文)
 
錦「ねぇ、江口さん」
江口「何?」
錦「何で俺の名前呼んでくれないの?」
江口「何でって・・・」
錦「もうエッチしたじゃん、なのにあのときも、錦君、だったし」
江口「え、っと・・・だから・・・」
錦「なに? ・・・江口さん、呼んで」
江口「う、ん・・・」
錦「江口さん」
江口「あのさ、」
錦「うん」
江口「おれさ、錦君の名前、知らないんだけど・・・」
錦「・・・、そうだっけ?」
江口「そうだよ」
錦「んー、じゃ教えてあげる」
江口「ちょ、何で押し倒すの!」
錦「教えてあげるからさ、ベットの中で呼んでくんない?」
江口「いやだ、ってー!」

あとがき

No.50|テニス、その他。Comment(0)Trackback()