イヅ一(BLEACH)
家ン中全部をクリスマスで飾られて、夕飯もチキンやらケーキやらで、
さんざん騒いだ家族の輪から外れて部屋に戻ると、
そこだけ違う空間みたいにぽっかりとしてた。
寒さが身を包む。
開けっ放しにしてた窓から吹く風にカーテンがなびいていた。
そういやぁ空気換気すんのに空けてたっけ、なんて頭の隅っこで思い出す。
電気をつけてベッドに乗って窓を閉めると、意味もなくタメ息が零れた。
そのままベッドに寝転がる。
身体の力を抜いて瞼を閉じると、窓を閉めたはずなのに風の存在を感じた。
暖房をつけた覚えもなくて、ゆっくりと閉じた瞼を開ける。
そしたら、灯りをつけたのに、部屋の中に暗さを感じて。
「あ、えっと・・・こんばんは、一護くん」
「うへぇッ!? イ、イヅルさん?!!」
視界に捉えた人物に思わず奇声が出た。
自信なさげに笑うのは間違いなくイヅルさんで。
隊長がいなくなってアッチでてんてこまいに働いてたはずじゃ・・・、と反芻する。
頬が掻いて口ごもるイヅルさんに、どうしたんですか? と訊くと、
「いや、何か、阿散井くんが『行って来い!』って」
言ったんだけど・・・、と目をそらしながらも教えてくれた。
あの赤毛か、と頭をかかえるがそれよりも嬉しさがつのる。
色んな意味で覚えてやがれ、恋次。
「そ、そういえばっ、今日って『くりすます』なんだってね!」
窓の外の景色を見ながらイヅルさんが言う。
「あ、あぁ、はい」
俺が答えるとイヅルさんは何かぶつぶつ呟きだして、
何だっけなあれ、としきりに繰り返していた。
俺には何もすることはなくて、ただイヅルさんの行動を見てるしかなかった。
すこしするとイヅルさんは思い出したいものを思い出したみたいで、
窓から俺のほうへ視線を移した。
「その、めりーくりすます、一護くん」
あっ、合ってるよねっ?、とあたふた訊いてくるイヅルさんに笑いがこみあげてきて、
失礼だと思いつつも喉で笑ってしまった。
笑って閉じてしまう瞼の隙間から見える姿がまたおかしくて更に笑ってしまう。
笑いながらもコクコクを頷けば、ほっと肩を下ろすのが見えた。
一通り笑いが治まって息も整って、俺のイヅルさんに言った。
「Merry Christmas,イヅルさん」
それからちょっとして、イヅルさんはまだ仕事があるからとアッチに戻っていった。
イヅ一って可愛いんですよ。百合みたいで。(こら)
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