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雑記と主にテニプリ&気の向くままのジャンルのSS(ベーコンレタス)を置いています。
2008/01/02(Wed)13:55
首亮
大気を震わせる火器の息。
耳が聞こえない、鼓膜が麻痺して上手く音を拾うことができない。
足は大地から離れようとしなくて、唇も僅かに揺れるだけで言葉を発さない。
でも視覚は捉えた、地に向かう身体と、鮮血の描く弧を。
嗅覚は捉えた、火器から臭う火薬の臭いと、鉄のニオイを。
また視覚は捉える、火器を扱った人間が笑うのを。
聴覚が戻る、自分の首元から発せられる機械音を聞き取った。
あ、
あぁ、
ああああぁぁぁあああああぁぁぁぁあああ・・・・・・!!!
「首藤ぉーーーーーーーッッ!!」
唇が条件反射のように素早く動いた。
身体もとぶように首藤の元へと寄っていた。
ペアがやられれば自分も首輪の爆発でやられる、そういうルールだった。
死ぬことに今、恐怖感はない。
ただ、首藤が血を流したこと、倒れたこと、やられたこと、それがグルグルと頭の中をまわる。
唇はまた上手く動かなくなった。
名を呼びたいのに。呼びたいのに、呼びたいのに!
「ほら、お前も道連れだァ!」
火薬の臭いを自分の臭いにしたヤツが喋る、愉しそうに笑う。
笑い声と機械音が重なって、どんどん速くなって。
「・・・しゅ、どぅっ・・・!」
あぁ、やっと呼べた。
でも、それっきり。
俺は首藤の名前を呼ぶことはできなくなっていた。
No.7|六角。|Comment(0)|Trackback()